木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
第4話 かなたとの日々
「楓さんは今日、何をしてましたか?」
「今日は学校に行きました」
「学校かあ」
「かなたさんは学校行ってますか?」
「少し前まで行ってました。最近は」
少し言葉を濁して続けた。
「あまり行ってないです。先生が家に来て勉強教えてくれます」
(何か事情があるのかな?)
聞きたかったけど、なんとなく聞きづらかった。
「令和の学校はどんな感じでしょうか?」
「えっ、えっと……同じ教室で、男の子も女の子も一緒に勉強するんです」
「えっ、女の子も一緒に?」
「はい」
「そうなんですか。僕の学校は、男の子ばかりなので」
「……あっ、でも、別々の学校もあります。それから、授業でタブレットを使うこともあります」
「たぶれっと……?」
楓は、タブレットや、ついでにスマートフォンがどんなものか説明した。
かなたは、初めて聞く話に驚いていた。
「なんだか令和の学校は、楽しそうですね」
「楽しいこともあれば、嫌なこともあります」
つい本音を漏らしてしまった。
「たとえば?」
「勉強が難しくて、特に英語がわからなくて」
「うん」
「運動が苦手だから、体育も嫌で」
「うん」
「体育の先生が厳しいんです。走るのが遅いのは、普段運動していないからだって、グラウンドを何周も走らされるんです」
令和になっても、こんな考え方をする教師はまだいるのだ。
「それは嫌ですね」