木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
第5話 芽生えた気持ち
かなたは、小さい頃からあまり体が丈夫ではないらしい。
学校へ行けないのも、そのためだそう。
たまに林へ来られないのも、きっと体調のせいだろう。
楓は、かなたの体について詳しく聞くことができなかった。
聞いたところで何もできないし、もし何か大きな病気じゃないかと思うと、怖くて尋ねられなかった。
「今日は、帰った方が……」
楓が遠慮がちに言った。
「そうですね。帰りますね」
かなたが答えた。
「また」
「はい、また」
かなたの声が聞こえなくなって、楓は木にもたれ、その場に座り込んだ。
そっと息を吐く。
最近は、かなたが何日も来られなかったり、少しだけ声を交わして別れたりすることが増えた。寒いので演奏もしていない。
咳き込むかなたの声を聞く度に、声をかけることしかできない自分が、ひどくもどかしかった。