木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
関係がありそうな本を片っ端から探し、何冊か借りることにした。
今日、林から帰ったら読もう。
◇
かなたは、今日もいた。
「今日楓さん、元気がいいですね。何かいいことがありました?」
かなたは少し笑っているようだった。
「いえ……あ、学校がいつもより楽しかったです」
楓は、今自分がしていることを、かなたには言わないでおこうと思った。
「かなたさんも、今日は調子がよさそうですね」
「はい。天気がいいからでしょうか。気持ちもつられて明るくなります。それに、楓さんがとても楽しそうだから」
「え、私?」
思いがけない言葉に、楓は驚いた。
「僕は、楓さんの笑い声が好きです。とても落ち着きます。ずっと笑っていてほしいと思います」
(なんて、強い人なのだろう)
楓は胸が熱くなった。
(かなたさんは、きっと気付いている。
最近、私が元気がないことを。
その理由は自分であることを。
本当は、不安でいっぱいなのは、かなたさんなのに。
それでも、笑ってほしいと言ってくれた)
「私も、かなたさんの笑い声が好きです」
本当は――。
語りかけてくれるような落ち着いた声も。
低くて心地よい声も。
全部好きだ。
楓は、そう叫びたいのをぐっとこらえた。
◇
図書室で借りた本を読み漁っても、これといった手がかりは見つからなかった。
ダメ元で始めたことだから、こうなる可能性は分かっていたけれど、気持ちは落ち込んだ。