木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
ほかに何かできることはないだろうか。
考えた末、楓はSNSで誰かに尋ねてみることを思いついた。
普段、SNSを使わない楓は、まずはアカウントを作った。
そして、さっそく投稿してみた。
「アカウント名:カエデ
不思議な木についてご存じの方を、探しています
私の住んでいる地域にある林に、とても大きく、古い木があります。
その木は、ある不思議な力があります。
信じがたい話かもしれませんが、現代と百年前の時代に生きる人の声を、つないでくれるのです。
私はその木を通して、大正時代にいるという男性と話をするようになりました。
けれど、ある事情から、もうすぐ話すことさえできなくなりしょうです。
そうなる前に一度会ってみたい。
不可能かもしれませんが、どうしても会ってみたいのです。
もし私と似たような体験をした方がいらっしゃったら、ぜひお話を聞かせてください。 カエデ」
投稿してから、楓は少し後悔をした。
こんなことを書いて、いったい何になるのだろう。
きっと、誰にも信じてもらいない。
投稿にはすぐにコメントがついた。だけど
『嘘でしょ』
『ありえねー』
『頭大丈夫か?』
(やっぱりそうなるよね……)
ところが、数日後。
個人宛てに、一通のメッセージが届いた。
『初めまして、ハワイ在住のMaiと申します。
カエデさんの投稿を見て、驚きました。私も似たような体験をしたことがあります。
ただ、私が体験したのは日本ではありません。以前留学していた国で起きた出来事です』
最初の数行を読んで、楓の胸は高鳴った。
日本ではないけれど、同じような不思議な出来事を体験した人がいたのだ。