木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
楓はさらに読み進めた。
『ホームステイ先の家の近くに、林がありました。
ある日、その林を一人で散歩していると、一本の大きな木から女の子の声が聞こえたのです。でも、周りには誰もいませんでした。
最初は気味が悪いなと思いましたが、話をしてみると、その子は百年以上前の時代に生きていることが分かりました。
日本にも、そのような不思議な木があるのですね。
カエデさんは、その男性に会いたいと思っていらっしゃるようですが、残念ながら、私はその女の子に会うことはできませんでした」
楓は、すぐに返信をした。
「Maiさん、メッセージありがとうございます。
同じような体験をした方とお話しできて、とてもうれしいです。
Maiさんとその女の子は、最後はどうなったのでしょうか」
返事は数分後に届いた。とても長い文章だった。
『女の子――アンと名乗っていましたが、アンと私は一か月ほど、毎日のように話をしました。
アンは私より年下でしたが、本当にびっくりするほど気が合ったのです。
私は留学したばかりで、英語もあまりはなせませんでした。
それでも、アンは私の気持ちや、伝えたいことを理解してくれました。
私も、アンの英語なら不思議と理解できたのです。
アンと過ごした一か月は、本当に夢のような時間でした。