木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
ところが、一か月たったころ、突然、お互いの声が聞き取りにくくなりました。
たとえて言うなら、電話をしているときに急に電波が悪くなり、相手の声が途切れてしまうような感じです。
それから一週間ほどして、いつものように林へ向かうと、アンの声がまったく聞こえなくなってしまいました。
声が聞こえなくなっただけなのか、それとも、アンの身に何かあったのかは分かりません。
ただ、そのときの私は、本当に悲しかったです。
夢中でアンの名前を叫びました。
まるで、大切な家族を失ったような気持ちでした」
声が聞こえなくなる――。
そんなことが起こる可能性について、楓はまったく考えていなかった。
自分たちは、もう二年もこうして話をしてきた。
かなたの引っ越しがなければ、このままずっと声を聞いていられるのではないかと、どこかで思っていたのだった。
Maiからのメッセージは、まだ続いていた。