木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
『私はしばらく、絶望的な気持ちでいました。
でも、あるとき、ふと思い出したのです。
実は、アンと話し始めたころ、私はこの不思議な出来事を誰かに話さずにはいられず、ホームステイ先のお姉さんを連れて林へ行ったことがありました。
ところが、信じられないことに、アンの声は私には聞こえても、お姉さんには聞こえなかったのです。
アンもまた、お姉さんの声は聞こえないと言いました。
自分がおかしくなってしまったのだろうかと不安になった私に、お姉さんはこう言ってくれました。
――大丈夫よ、私はMaiのこと信じているわ。
私の曾祖母も、ここで不思議な声を聞いたことがあるの。
聞こえる人もいれば、聞こえない人もいるみたい。
人にはそれぞれ、ご縁のある人がいるでしょう?
あなたはきっと、この大きな木を通してアンと縁を結んでいるのね。
私には残念ながら聞こえないけど、曾祖母の話が本当だったと分かったから、あなたとアンのすばらしい縁に、感謝するわ――
アンとは、もう話ができなくなってしまいましたが。
それでも私は今も、アンが別の時代で幸せに生きていることを願っています」