木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
第8話 約束
楓は、かなたと残り少ない日々を、できるだけ笑って過ごした。
かなたがそう望んでいるからだ。
Maiさんのメッセージにはショックを受けたが、同時に希望のような温かなものも感じた。
やはりあの木には妖精がいたのかもしれない。
かなたとの間に起きた不思議な出来事は、気まぐれな妖精の、ちょっとしたいたずらだったのかもしれない。
けれど、そのいたずらで招いた奇跡を、楓はこの上なく愛おしく感じていた。
◇
そして最後の日を迎えた。
桜の花は、もうすっかり散ってしまっていた。
楓は、治療が終わり、無事に過ごしているかを知りたいと、かなたに伝えた。
すると、かなたが言った。
「では、こうしましょう。今からちょうど五年後、この時間に、僕はまたここに来ます。
来られなければ十年後、十五年後と、五年ごとにここへ来るようにします。
そのとき、声が聞こえたら……また一緒に演奏をしてくれませんか」