木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
あおとは言った。

「この手紙に書いてあったんです。
二○二六年の今日、この林の下にいる女の子に、自分のことを伝えて欲しいと」


楓は、はっと息を呑んだ。

あおとは、楓に顔を向けた。

「楓さん。かなたさんの治療はうまくいったんです。かなたさんは生き延びることができたんです。

戦争もあって、生きるのが大変な時代だったそうですが、父の話では、九十歳近くまで生きたそうです」


楓は目を見開き、口元に手を当てた。

「そうなんですね。九十歳近くって、すごいよ、かなたさん」

うれしくて、涙をこぼした。

良かった……。

本当に良かった。

この五年間、ずっと無事を祈っていた。

何よりも知りたかったことだった。



だけど――
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