呉服王子のギャップがメロすぎです!~料理上手な御曹司に胃袋ごと捕まりました~
「結衣は子どもの頃の夢はなんだった?」
「え?」

 脈絡のない質問に、思わず目をしばたたく。柊真さんはテーブルにひじをつき、手の甲に顎をのせて私の答えをじっと待っている。普通の人がやれば行儀が悪く見える仕草も、彼がやるとまるで映画のワンシーンのようだ。

 目の覚めるようなイケメン――しかも片想いの相手――に見つめられて平静でいられるわけがない。全身にじわっと変な汗がにじむ。

「小さい頃はお姫様でした」

 居たたまれなさから逃げるように口を開いたせいで、本当のことを言ってしまった。さすがにちょっと恥ずかしい。

「いいね。すごくかわいいお姫様だろうな」

 本気でそう思っているような優しい顔で言うので、お世辞だとわかっているのになんだか照れくさい。

「でも、小学校のときに男の子から『おまえは庶民だからお姫様にはなれない』って言われて。そこからはお洋服屋さんになりたいと言うようになりましたね。自分でもちょっと子どもっぽいと気づいて」

 顔が赤くならないよう、あえておどけ気味に言う。

「全然そんなことないのに」

 慰めの言葉にかぶりを振る。

「今花桐で働いていて、お客様がお姫様や王子様になるお手伝いをしているみたいでとても楽しいです」

 二十歳の祝いで振袖を着たとき、まるで自分が特別なお姫様になったような気持ちになった。それから呉服店に就職したいと思ったのだ。

 でもどうして急にそんなことを聞くのだろう。
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