呉服王子のギャップがメロすぎです!~料理上手な御曹司に胃袋ごと捕まりました~
「結衣。君、考えていることが顔に出やすいと言われない?」
「あっ」

 反射的に頬を押さえると、彼がフフッと笑う。

「たしかに料理は好きだったけど、だからと言って花桐呉服に入るのが嫌だったわけじゃない。着物の世界は料理とは違ったおもしろさがあるからね。先人たちが守ってきた伝統や格式を守りつつも、時代を先取りしていかなければ生き残れない。と同時に、この先の未来にも着物という日本文化を遺していかなければならないという使命もある。そんな難易度の高いものに挑戦し続けるのは、最高に楽しいよ」

 揺るぎない自信に満ちた表情で、生き生きと語る言葉に引き込まれる。彼が料理と同じように、花桐呉服での仕事も好きという気持ちが伝わってきた。

「そうだったんですね」
「ああ」
「でも手料理を披露する機会は稀だから、結衣がたくさん食べてくれたらうれしいな」

 ニッコリと笑った柊真さんが再びスプーンを差し出してきた。
 そこから再び雛鳥のように食事を口に運ばれ続け、感想を言ったり作り方を聞いたりしているうちに、気づいたらデザートのイチゴムースまできれいに平らげてしまった。

< 16 / 58 >

この作品をシェア

pagetop