呉服王子のギャップがメロすぎです!~料理上手な御曹司に胃袋ごと捕まりました~
2.呉服王子に片想い

『――で? 今朝はフレンチトーストだった、と』
「うん! それもめちゃくちゃおいしかったの」

 外側はカリッと香ばしく中はふわふわで、噛むほどにミルクと卵のやさしい味わいが口の中に広がった。思い出しただけで頬の裏側からジュワッと唾液が出てくる。

 スマホから大きなため息が聞こえた。

『結衣……ちょっとのんきすぎじゃない? せっかく片想いの王子様とこんなに近くにいるのに食い気ばっかりだなんて』
「ゆっ、優(ゆう)ちゃん!」

 慌てて「しーっ」と人差し指を口に当てる。部屋にひとりなので誰かに聞かれる心配はないけれど、さすがにここでそれを言われるとドキッとしてしまう。ドアを隔てた廊下には本人がいるかもしれないのだ。

 私はあのまま柊真さんの家にお世話になっている。家に帰ると言ったけれど、聞き入れてもらえず三日が経った。

「優ちゃんったら……心臓に悪いから今その話はちょっと」

 スマホに向かってひそひそ言う。

『優ちゃん』こと二宮(にのみや)優希(ゆうき)は、中学からの親友だ。中高一貫の学校に仲良く通い、大学は別々だったが定期的に連絡を取りあっていた。
 互いに就職で東京に住むようになり、会社帰りに待ち合わせて飲みに行ったり、休みが合えば一緒に出掛けたりもしている。

 私が柊真さんに片想いしているのは、彼女にしか打ち明けていない。
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