呉服王子のギャップがメロすぎです!~料理上手な御曹司に胃袋ごと捕まりました~
3.呉服王子の独占欲
翌日。朝は冷え込んだけれど、太陽の上昇と共に気温が上がり、ぽかぽかと春らしい陽気となってきた。
今日あたり咲いている桜もあるかもしれない。病院の帰りに探してみようかなと思いながら、私は予定通り病院へ向かった。
受診の結果、無事に治癒の診断が下りた。
よかったあ。あんなにお世話になったのに、完治していなかったら柊真さんに申し訳なさすぎるもの。
痕も残らずきれいに治ったのは、安静にしていたおかげかもしれない。
柊真さんへは病院から出てすぐ結果報告のメッセージを送ったけれど、まだ既読はついていない。仕事が忙しいのだろう。
今夜の食事会に今からドキドキする。
ただの完治祝いだとわかっているけれど、異性と出かけたことのない私にとってはデートに等しい。
きっと最初で最後のデートだ。いい思い出で締めくくりたい。
いったん自宅に戻った私は、久々の我が家でひと息つくひまもなく、バタバタと準備をしていく。
就職祝いにと両親が買ってくれた和箪笥を開け、畳紙に包まれた一着を取り出した。
淡いピンク色の地に鮮やかな赤い花桐模様や色とりどりの花々が描かれたアンティーク小紋だ。
花桐呉服では正規の呉服以外にもアンティーク着物も取り扱っている。社割も使えるため、思い切ってボーナスのときに買っておいたのだ。