呉服王子のギャップがメロすぎです!~料理上手な御曹司に胃袋ごと捕まりました~
 銀座から日本橋の花桐呉服本店まで、運動を兼ねて歩くことにした。ずっと柊真さんの家に引きこもりだったので運動不足が気になっていたのだ。
 着物は洋服と違って体形をあまり気にしなくていいとはいえ、接客業なのだからある程度のスタイルは保ちたい。特に身長の低い私は、少し体重が増えただけで他の人よりも太って見えてしまうから要注意なのだ。

 青空の下、春風を感じつつ大通りを進んでいく。
 三十分ほど歩いたところで本店が見えてきた。通りに面した店舗入り口から人が出てくる。

 あ、奥様だわ。

 プラチナブロンドの髪を夜会巻きにして、薄いベージュ色の色留袖(いろとめそで)姿が美しい。スラリと背が高いので、大ぶりな牡丹(ぼたん)の柄がよく似合っている。

 足を止めてぼうっと見惚れていると、すぐ後ろから若い女性が出てきた。豪華な古典柄の振袖を着ている。

 わあ、きれいな人……。

 年は私より少し下だろうか。奥様と並んでも見劣りしないほど背が高く、長くてまっすぐな黒髪をハーフアップにしている。大和撫子という言葉がぴったりだ。

 あの人だったら、着物も洋服もどんなものでも着こなせるだろうなあ。

 背が低く童顔な私より、圧倒的に着物が似合っている。
 遠くからその女性と奥様が迎えの車に乗ってどこかへ行くのを見送った後、従業員入口から店内に入った。
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