呉服王子のギャップがメロすぎです!~料理上手な御曹司に胃袋ごと捕まりました~
「ちょっとは落ち着いた?」
「……うん」
優ちゃんのアルトボイスが胸に染みる。
洟をすすってからカップに口をつけると、葉っぱのアートは崩れかけ、ラテはすっかり冷えていた。
電話の後、私は職場から少し離れた場所にあるカフェで優ちゃんと落ち合った。彼女は出張から帰京したところで、お見舞いがてらお土産を渡そうと連絡をくれたらしい。
入店から小一時間経ったけれど、今のところこのテラス席には私たちしかいない。それもそうだ。今は三月下旬の午後四時。快晴とはいえテラス席を楽しむには肌寒い。
今さらながらそんなことに気づいて、どれだけ自分に余裕がなかったのかと反省する。
「ごめん、優ちゃん。ここじゃ寒かったよね」
「北海道帰りで厚着をしているから平気よ」
優ちゃんはライダースジャケットの上からポンと胸を叩いてみせる。ハイネックのニットとストレートのタックパンツというメンズライクなファッションが、スラリと背が高くてスタイルのよい彼女によく似合っている。