呉服王子のギャップがメロすぎです!~料理上手な御曹司に胃袋ごと捕まりました~
 給料二か月分が落ちちゃう!

 反射的にポットを掴んだら、あふれた紅茶が手にかかった。

「あっつぅ……っ」
「大丈夫⁉」

 男性の声がして、ポットを持ったまましゃがみこんでいる私の両手を掴んで、シンクまで連れていき、勢いよく蛇口の水を掛けた。流水に冷やされるとヒリヒリが少しマシになる。

「ありがとうござ……っ」

 振り返って息をのむ。日本人離れした美しい顔がすぐそばにあった。

 私より四十センチほど高いところにある顔は、透けるように白い。
 くっきりとしたアーモンド形の二重まぶたは、緑がかった薄茶色のヘーゼルアイ。
 高い鼻梁とミルクティーを思わせる亜麻色の髪。

 外国映画に出てくるヒーローのような容姿を持つ人は、この会社にひとりしかいない。

 わが社の副社長にして社長の息子。花桐呉服の後継者。

 そして私がこの一年間、ひそかに想い続けている片想いの相手。

 花桐柊真(とうま)だ。
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