その溺愛、予想外につき。
聞きたいことがたくさんあるのに、声にならない。

「……るか」

「ん?」

「私も……」

そこまで言って、私は口を閉じた。

まだ、言えない。

嬉しい。
好き。
私もるかが好き。

でも、その言葉を口にしたら、何かが変わってしまいそうで怖かった。

るかは、私の迷いを見抜いたように、やさしく笑った。

「今すぐ答えなくていいよ」

「え?」

「俺が勝手に言っただけだから」

「でも……」

「ふわりがちゃんと自分の気持ちを見つけるまで、待つ」

その言葉は、以前にも聞いた。

――ずっと待つよ。

あの時の言葉の意味を、今なら少しだけわかる気がした。

私は俯いたまま、ぎゅっと手を握る。

「……ずるい」

「何が?」

「そんなふうにされたら、もっと好きになる」

言ってしまった。

完全に、言ってしまった。

るかの目が大きく見開かれる。

私も自分の言葉に驚いて、慌てて顔を上げた。

「今のは、その……」

言い訳をしようとしたけれど、もう遅かった。

るかは、ゆっくり笑った。

「うん」

「……何?」

「もっと好きになって」

街灯の光の下で、るかが少しだけ身を寄せる。

触れそうで触れない距離。
でも、今までよりずっと近い。

「俺も、もっと好きにさせるから」

心臓が、壊れそうなくらい鳴った。

足の痛みも、疲れも、秘密を抱えていた苦しさも、その瞬間だけは全部忘れていた。

ただ、るかの隣にいられることが嬉しかった。

帰り道は、駅まであと少しだった。

けれど私は、もう少しだけこの時間が続けばいいと思っていた。
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