その溺愛、予想外につき。
「……え?」

やっと絞り出した声は、ひどく小さかった。

るかはまっすぐ私を見ている。

「涼から聞いた」

「いつから?」

「ふわりがここに来る前」

頭の中が真っ白になる。

「じゃあ、最初から……?」

「うん」

「私が女の子だってことも?」

「知ってる」

「男装してることも?」

「知ってる」

「それなのに、なんで……」

言葉がうまく続かない。

ずっと、ばれないようにしていた。
変に見られないように、声も仕草も気をつけていた。

なのに、るかは最初から全部知っていた。

「どうして言わなかったの?」

やっと尋ねると、るかは少しだけ困ったように笑った。

「ふわりが、自分から話してくれるまで待ちたかったから」

胸の奥が、きゅっと締めつけられる。

「怖かったんだよね?」

「……うん」

「ばれたら、ここにいられなくなると思った?」

「うん」

「俺たちに嫌われると思った?」

私は答えられなかった。

それは、ずっと心の中にあった不安だった。

女の子だと知られたら、涼の代わりではいられない。
仲間として認めてもらえない。
るかにも、今までみたいに接してもらえなくなる。

そんなことばかり考えていた。

るかは、そんな私の沈黙を見て、そっと息を吐いた。

「俺は、嫌わないよ」

「……本当に?」

「本当」

「女の子でも?」

「何回聞くの」

るかは少し笑った。

「女の子でも、ふわりはふわりでしょ」

その言葉に、目の奥が熱くなる。

「私……ずっと、るかに嫌われたくなかった」

「うん」

「優しくしてくれるのも、近くにいてくれるのも、全部なくなるのが嫌だった」

「うん」

「だから、言えなかった」

もう、涙がこぼれそうだった。

るかは少しだけ迷うように手を伸ばし、私の頭にそっと触れた。

短い黒髪のウィッグ越しに、優しく撫でる。

「なくならないよ」

「……本当に?」

「本当」

るかの手が、ゆっくり離れていく。

「俺が好きなのは、涼の代わりをしてるふわりじゃない」

その言葉に、胸が大きく鳴った。

「俺が好きなのは、頑張りすぎて、すぐ強がって、でも本当はすごく不安そうなふわり」

呼吸が止まる。

るかは、少し照れたように笑った。

「だから、これからも俺の前では無理しなくていいよ」

好き。

その言葉が、頭の中で何度も響く。

私が?
るかが?
いつから?
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