君を帰すことだけはできない〜北の王太子が五年越しに愛した南の町娘〜
◇
翌朝、リリーはいつもより早く家を出た。足元の石畳は雨で黒く濡れ、所々に溜まった水溜まりが微かな朝の光を映していた。
(今日……言わなきゃ)
昨夜、父のトーマスが珍しく酒を飲んで口を開いた。
「最近、お前が夜出かけるのを見たぞ」
「物置小屋に何かあるのか」
父の目は見透かしていた。結局、「野菜の仕入れの残りを置いているだけ」と誤魔化したが、父は納得していない様子だった。
「変なことに巻き込まれるな。この街は、余計なことをした者が食われる」
その言葉が、胸に突き刺さった。
翌朝、リリーはいつもより早く家を出た。足元の石畳は雨で黒く濡れ、所々に溜まった水溜まりが微かな朝の光を映していた。
(今日……言わなきゃ)
昨夜、父のトーマスが珍しく酒を飲んで口を開いた。
「最近、お前が夜出かけるのを見たぞ」
「物置小屋に何かあるのか」
父の目は見透かしていた。結局、「野菜の仕入れの残りを置いているだけ」と誤魔化したが、父は納得していない様子だった。
「変なことに巻き込まれるな。この街は、余計なことをした者が食われる」
その言葉が、胸に突き刺さった。