君を帰すことだけはできない〜北の王太子が五年越しに愛した南の町娘〜
「……もう、行っちゃうの?」
問いかけた声は震えていた。
「追っ手が来ている」
ノアは低く言った。
「市場で尋ねていた……金髪の怪我人を探していると」
ノアはゆっくりと顔を向けた。
「……知っていたのか」
「うん……」
リリーは膝を抱えたまま視線を落とした。
「俺にこれ以上関われば……君も巻き込まれる」
「……分かっているよ」
リリーの指先が袖口を握りしめている。
「それでも……あなたのことが、気になる」
たったそれだけの言葉が、これほど残酷に響くとは思わなかった。彼女は知らない。自分が誰に心を寄せているのか。
「俺のような人間に関わって……何になる」
ノアの声は震えていた。
「何にもならないかもしれない」
リリーは静かに言った。
「それでも……気になる」
ノアの心臓が跳ねた。暫くして、ノアはゆっくりと立ち上がる。感情を殺すのに必死だった。
「……家に戻れ」
これ以上近づけば、自分を抑えられなくなる。彼女を抱きしめてしまえば、二度と離せなくなる。
リリーの肩が微かに跳ねた。ゆっくりと顔を上げる。その緑色の瞳に、深い失望の色が滲んでいた。傷ついた表情。それでも彼女は何も言わなかった。ただ静かに立ち上がり、背を向けた。
問いかけた声は震えていた。
「追っ手が来ている」
ノアは低く言った。
「市場で尋ねていた……金髪の怪我人を探していると」
ノアはゆっくりと顔を向けた。
「……知っていたのか」
「うん……」
リリーは膝を抱えたまま視線を落とした。
「俺にこれ以上関われば……君も巻き込まれる」
「……分かっているよ」
リリーの指先が袖口を握りしめている。
「それでも……あなたのことが、気になる」
たったそれだけの言葉が、これほど残酷に響くとは思わなかった。彼女は知らない。自分が誰に心を寄せているのか。
「俺のような人間に関わって……何になる」
ノアの声は震えていた。
「何にもならないかもしれない」
リリーは静かに言った。
「それでも……気になる」
ノアの心臓が跳ねた。暫くして、ノアはゆっくりと立ち上がる。感情を殺すのに必死だった。
「……家に戻れ」
これ以上近づけば、自分を抑えられなくなる。彼女を抱きしめてしまえば、二度と離せなくなる。
リリーの肩が微かに跳ねた。ゆっくりと顔を上げる。その緑色の瞳に、深い失望の色が滲んでいた。傷ついた表情。それでも彼女は何も言わなかった。ただ静かに立ち上がり、背を向けた。