未来に続く物語
翌日から古河はまた朝一番にこちらへ来ると、カップを静かに置いて、軽く笑みを浮かべながら同じことを言った。そこでネックウォーマーを返してみたものの、『それも志央の分』と言われ、すぐさま関係者出入口へ戻って行った。
それが三日ほど続いて、四日目に古河はカップを静かに置き、おもむろに口を開いた。
「今日の夜、映画観てかない?」
「どういう、意味ですか?」
カップの飲み口を開けてから、一口含んでみると、渋さが舌先に残って、あまり飲み進められずにいた。
「下の映画館、メンテナンス入ってんだけど、終わるの夜だから、客に観せる前に」
古河は言い終えると、こちらのカップを手に取り、一口含んでから、口の端を軽く上げて眉を顰めた。
同じように眉を顰めながら、「古河さん、観ればいいじゃないですか」と言い、鞄から財布を取り出し、腰を上げた。
「観るよ。でも、志央が居ないと確認しようがない」
古河の言葉を頭の中で繰り返しながら、受付から抜け出し、自販機へ向かい、財布を開いたところで、小銭がないことに溜息が漏れた。
「客として、的な……ですか」そう言いながら、階段のほうへ向かうと、古河が「分かってんじゃん。ていうか、何飲むの」と尋ねてきて、その足は自販機のほうへ向かっていた。
「お水です。でも、コンビニ行ってきます」そう返してみると、すかさず古河は「受付から動くな。時間は九時、遅くなるから送ってく」と言いながら、自販機のボタンを押し、ペットボトルを手に戻ってきた。
受付に入ると同時に、カウンターの上にペットボトルが置かれ、古河はこちらを向いて言った。
「志央、映画好きだろ?」
「なんで、それを……?」
ペットボトルを手にし、キャップを開けてから、口内を洗い流すように飲み込んだ。
「爺から聞いてる」と古河は言って、煙草を口にくわえ、火を点けてから、煙を下へ吐き出した。
首を傾げていると、古河は一度吸ってから、横に吐き流したあとで、こちらに向いて言った。
「俺の爺さん、ここのオーナー」
開いた口が塞がらず、ペットボトルを口元に当て、ゆっくり水を飲んでから返した。
「そう、ですか……」
どこまで筒抜けになっているのかと思ったけれど、詳しいことは話してないし、聞かれたところで何も疚しいことはなかった。
そこで古河は軽く笑みを浮かべ、こちらを向いて言った。
「爺の言う通り、来て正解だった」
思わず苦笑いを浮かべ、視線を逸らしたものの、軽い息を飛ばした音が聞こえ、古河の姿が関係者出入口へ向かって行った。
それが三日ほど続いて、四日目に古河はカップを静かに置き、おもむろに口を開いた。
「今日の夜、映画観てかない?」
「どういう、意味ですか?」
カップの飲み口を開けてから、一口含んでみると、渋さが舌先に残って、あまり飲み進められずにいた。
「下の映画館、メンテナンス入ってんだけど、終わるの夜だから、客に観せる前に」
古河は言い終えると、こちらのカップを手に取り、一口含んでから、口の端を軽く上げて眉を顰めた。
同じように眉を顰めながら、「古河さん、観ればいいじゃないですか」と言い、鞄から財布を取り出し、腰を上げた。
「観るよ。でも、志央が居ないと確認しようがない」
古河の言葉を頭の中で繰り返しながら、受付から抜け出し、自販機へ向かい、財布を開いたところで、小銭がないことに溜息が漏れた。
「客として、的な……ですか」そう言いながら、階段のほうへ向かうと、古河が「分かってんじゃん。ていうか、何飲むの」と尋ねてきて、その足は自販機のほうへ向かっていた。
「お水です。でも、コンビニ行ってきます」そう返してみると、すかさず古河は「受付から動くな。時間は九時、遅くなるから送ってく」と言いながら、自販機のボタンを押し、ペットボトルを手に戻ってきた。
受付に入ると同時に、カウンターの上にペットボトルが置かれ、古河はこちらを向いて言った。
「志央、映画好きだろ?」
「なんで、それを……?」
ペットボトルを手にし、キャップを開けてから、口内を洗い流すように飲み込んだ。
「爺から聞いてる」と古河は言って、煙草を口にくわえ、火を点けてから、煙を下へ吐き出した。
首を傾げていると、古河は一度吸ってから、横に吐き流したあとで、こちらに向いて言った。
「俺の爺さん、ここのオーナー」
開いた口が塞がらず、ペットボトルを口元に当て、ゆっくり水を飲んでから返した。
「そう、ですか……」
どこまで筒抜けになっているのかと思ったけれど、詳しいことは話してないし、聞かれたところで何も疚しいことはなかった。
そこで古河は軽く笑みを浮かべ、こちらを向いて言った。
「爺の言う通り、来て正解だった」
思わず苦笑いを浮かべ、視線を逸らしたものの、軽い息を飛ばした音が聞こえ、古河の姿が関係者出入口へ向かって行った。