未来に続く物語
それから上映後に古河は出て来て、視線をこちらへ一度向けてから、付近の灰皿の傍に立ち、煙草を吸っていた。
三度目くらいまでは何気ない視線に感じていたけれど、こちらが目を向けたところで、途端に逸らされた。
話し掛ける機会を見計らっている気がして、本を開いても読み進めることが出来なかった。
何て日だ、と思いながら鞄に手を掛け、本を仕舞っていると、何人かが駆け上がってくる足音が聞こえてきた。
楽しげな足取りに明るい声が混じり、ふと館内の時計に目を向けていると、二人組の女子高生が過ぎて行った。すぐに上げかけた腰を戻すと、古河は囲まれた状態で、平坦な顔で煙草をくわえていた。
古河はおもむろに煙草に火を点け、眉尻を少し下げたかと思うと、軽く首を振った。
見覚えのある態度を目にした時、吐き出した煙草の煙が溜息混じりのように見えた。
そこで、古河は煙草を吸ってから、静かに吐き出した。
「帰れ。他にすること、あんだろ」
すると、女子高生は鞄から封筒のような物を取り出し、それを古河に向けて突き出した。
古河は封筒を一瞥してから、ポケットに左手を入れ、もう片方の手で煙草を持ち、「帰れ」とだけ告げた。
その口調は強くないけれど、女子高生は諦めたように見せ掛け、こちらに向いて来る。
本人が受け取らないものを、こちらに押し付けて行くのは目に見えていた。
二人組の女子高生はほぼ同時に踵を返し、こちらを見ながら話し始めた。
「あのぅ……これ……」
女子高生二人がこちらまで来ると、片方の子が顔色を窺いながら、可愛らしい封筒を差し出そうとしていた。
すかさず古河のほうを見ると、こちらを窺いながら、煙草を灰皿に落とした。
古河がこの場に割って入ろうとすることは分かっているけれど、そうされたところで、こちらが言うことは決まっている。
「私は……」と僅かに口にしたとき、羽山が女子高生の近くに立ち、封筒を持っている子に言った。
「この人に渡しても意味ないの分かるよね?その制服の学校、校則厳しいのに、寄り道していいの?」
途端に封筒の子がばつの悪そうな顔をし、手にしたものを握り潰すと、床に向かって投げつけた。
「じゃあ、捨てていく」そう言って封筒の子が羽山に向かい、「調子乗んなよ、ばーか」と捨て台詞を吐いて立ち去った。残った女子高生は羽山に深く頭を下げ、転がっていた封筒を手にし、こちらに向かい、「ご迷惑お掛けしました」と言って階段を降りて行った。
まるで嵐のような出来事が過ぎると、羽山がこちらを見てから笑いかけ、おもむろに口を開いた。
「休憩の時間です、志央さん」
三度目くらいまでは何気ない視線に感じていたけれど、こちらが目を向けたところで、途端に逸らされた。
話し掛ける機会を見計らっている気がして、本を開いても読み進めることが出来なかった。
何て日だ、と思いながら鞄に手を掛け、本を仕舞っていると、何人かが駆け上がってくる足音が聞こえてきた。
楽しげな足取りに明るい声が混じり、ふと館内の時計に目を向けていると、二人組の女子高生が過ぎて行った。すぐに上げかけた腰を戻すと、古河は囲まれた状態で、平坦な顔で煙草をくわえていた。
古河はおもむろに煙草に火を点け、眉尻を少し下げたかと思うと、軽く首を振った。
見覚えのある態度を目にした時、吐き出した煙草の煙が溜息混じりのように見えた。
そこで、古河は煙草を吸ってから、静かに吐き出した。
「帰れ。他にすること、あんだろ」
すると、女子高生は鞄から封筒のような物を取り出し、それを古河に向けて突き出した。
古河は封筒を一瞥してから、ポケットに左手を入れ、もう片方の手で煙草を持ち、「帰れ」とだけ告げた。
その口調は強くないけれど、女子高生は諦めたように見せ掛け、こちらに向いて来る。
本人が受け取らないものを、こちらに押し付けて行くのは目に見えていた。
二人組の女子高生はほぼ同時に踵を返し、こちらを見ながら話し始めた。
「あのぅ……これ……」
女子高生二人がこちらまで来ると、片方の子が顔色を窺いながら、可愛らしい封筒を差し出そうとしていた。
すかさず古河のほうを見ると、こちらを窺いながら、煙草を灰皿に落とした。
古河がこの場に割って入ろうとすることは分かっているけれど、そうされたところで、こちらが言うことは決まっている。
「私は……」と僅かに口にしたとき、羽山が女子高生の近くに立ち、封筒を持っている子に言った。
「この人に渡しても意味ないの分かるよね?その制服の学校、校則厳しいのに、寄り道していいの?」
途端に封筒の子がばつの悪そうな顔をし、手にしたものを握り潰すと、床に向かって投げつけた。
「じゃあ、捨てていく」そう言って封筒の子が羽山に向かい、「調子乗んなよ、ばーか」と捨て台詞を吐いて立ち去った。残った女子高生は羽山に深く頭を下げ、転がっていた封筒を手にし、こちらに向かい、「ご迷惑お掛けしました」と言って階段を降りて行った。
まるで嵐のような出来事が過ぎると、羽山がこちらを見てから笑いかけ、おもむろに口を開いた。
「休憩の時間です、志央さん」