遠き日の君
この季節はやっぱりいいな。冬の始まりが近づく頃の外は見ていて面白い...そんな事を思っていると"ガラガラッ"なんの前触れも無く病室に勢いよく扉の開く音が響いた。いつもの様に絵を描いていた私はびっくりして跳ね上がってしまった。そして扉の方に目を向けると見知らぬ人が立っていた。私とはまるで真逆みたいに健康そうな体、色んなものを見てきた目、それと何かに対してとても不服そうな目をしていた。けれどそんな事は関係無く。あぁ、またかという言葉しか浮かばなかった。この病室に他の人が来たのは初めてでは無い。以前に2回人が来たことがある。どちらも歳は近そうだった。けれども直ぐに退院していった。そんな姿を見る度にその人を妬んでしまった。そして、そんな事を思う自分に絶望する。仲良くなったらより酷くなることは想像出来るから今回も関わろうとも思わない。実際前の2人のこともよく知らない。そんな私でも生きようと思えるのは記憶に残っていないほど小さい頃親戚に預けられていた私は奇病を発症したそうだ。その時に私の両親が事故で亡くなる不幸が重なったらしい。そうして残された私はこの病院に預けられた。そんな時にこの病院の医師、昂也さんが私と養子縁組をして入院費用を払ってくれたそうだ。その恩をどうにか返したいから今も希望を捨てていない。再び新しい同居人の方を見てこう思った。どうせこの人もすぐ居なくなるだろうなと。けれど1ヶ月経った頃も変わらず病室にいた。いつも暇そうにしているのでついつい思っていた言葉を聞いてしまった。「あなたはどこにも行かないの?」少しの曇りもなく出た言葉に自分自信が少し驚きを覚えた。
< 2 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop