君だけに奏でる愛のカノン〜世界的ピアニストの甘い溺愛〜
「じゃあ、まあ、お互いにってことで」
「そうね」
またコーヒーを飲む。微笑みながらも、お互いから目を離せない。
「なんだか久しぶりにピアノを弾きたくなっちゃった」
「花音はもう、ピアノを弾いてなかったの?」
「私はピアノ科じゃなくて、作曲科だったから。それに、あの後一般企業に就職したの。一人暮らしの家にピアノはないし。しばらく弾いてないわね」
「そうなの? じゃあ、久しぶりに一緒に弾こうよ」
「いいけど……どこで?」
「僕の家」
「日本に引越してきたの?」
「違うよ。これから日本でコンサートがあるから、その間借りているところ」
「そうなの。ピアノが弾けるなら、是非」
「オッケー」
そして、私たちは奏の仮住まいに向かった。
電車を乗り継ぎ、着いた先は、ミュージションの最上階だった。
そこは、まさに私の憧れが詰まった場所だった。
広いリビングには、白いグランドピアノが一台置かれている。
窓の向こうには東京のビル群が見えた。
「素敵!」
「気に入ってもらえて良かった。……何から弾く? 楽譜が必要ならその棚にあるよ」
「私、まずあなたの音が聞きたい」
私が興奮気味にそう言うと、奏は「いいよ」と微笑んだ。
そして弾き出したのは「カノン」。
思った通り、彼の紡ぎ出す音は温かくて……私の心に染み渡っていった。
技術だけじゃない、音色に惹かれてしまう気持ちを抑えられない。
彼がカノンを弾き終えると、私も彼の横に座り、思いつくままに曲を弾いた。
指の滑らかさが戻るまでだいぶ時間が掛かったけれど、楽しくて何度も繰り返した。
私が弾く曲に、奏がアレンジを入れたり。私が右手、奏が左手で一つの曲を弾いたり。
私たちは、離れていた時間を埋め尽くすかのように夢中になった。
どのくらい時間が経ったかわからない。
疲れて指が止まると、奏と視線が合った。
彼は静かに両腕を広げると、横に座る私を包み込む。
高揚して汗ばんだ額に、口付けが落ちた。
瞼に、頬に――何度も。
そして、唇が重なりそうになった時――私は、手を挟んでキスを止めた。
「どうして……?」
「奏……話しておきたいことがある」
私を包み込む腕に緊張が走った。
「私ね……二週間後に結婚式を挙げるはずだったの。でも、昨日……婚約者の裏切りと浮気相手の妊娠が発覚した」
奏は驚きの表情を見せたけれど、また私を優しく抱きしめた。
「……辛い思いをしたんだね」
「そうね」
またコーヒーを飲む。微笑みながらも、お互いから目を離せない。
「なんだか久しぶりにピアノを弾きたくなっちゃった」
「花音はもう、ピアノを弾いてなかったの?」
「私はピアノ科じゃなくて、作曲科だったから。それに、あの後一般企業に就職したの。一人暮らしの家にピアノはないし。しばらく弾いてないわね」
「そうなの? じゃあ、久しぶりに一緒に弾こうよ」
「いいけど……どこで?」
「僕の家」
「日本に引越してきたの?」
「違うよ。これから日本でコンサートがあるから、その間借りているところ」
「そうなの。ピアノが弾けるなら、是非」
「オッケー」
そして、私たちは奏の仮住まいに向かった。
電車を乗り継ぎ、着いた先は、ミュージションの最上階だった。
そこは、まさに私の憧れが詰まった場所だった。
広いリビングには、白いグランドピアノが一台置かれている。
窓の向こうには東京のビル群が見えた。
「素敵!」
「気に入ってもらえて良かった。……何から弾く? 楽譜が必要ならその棚にあるよ」
「私、まずあなたの音が聞きたい」
私が興奮気味にそう言うと、奏は「いいよ」と微笑んだ。
そして弾き出したのは「カノン」。
思った通り、彼の紡ぎ出す音は温かくて……私の心に染み渡っていった。
技術だけじゃない、音色に惹かれてしまう気持ちを抑えられない。
彼がカノンを弾き終えると、私も彼の横に座り、思いつくままに曲を弾いた。
指の滑らかさが戻るまでだいぶ時間が掛かったけれど、楽しくて何度も繰り返した。
私が弾く曲に、奏がアレンジを入れたり。私が右手、奏が左手で一つの曲を弾いたり。
私たちは、離れていた時間を埋め尽くすかのように夢中になった。
どのくらい時間が経ったかわからない。
疲れて指が止まると、奏と視線が合った。
彼は静かに両腕を広げると、横に座る私を包み込む。
高揚して汗ばんだ額に、口付けが落ちた。
瞼に、頬に――何度も。
そして、唇が重なりそうになった時――私は、手を挟んでキスを止めた。
「どうして……?」
「奏……話しておきたいことがある」
私を包み込む腕に緊張が走った。
「私ね……二週間後に結婚式を挙げるはずだったの。でも、昨日……婚約者の裏切りと浮気相手の妊娠が発覚した」
奏は驚きの表情を見せたけれど、また私を優しく抱きしめた。
「……辛い思いをしたんだね」