君だけに奏でる愛のカノン〜世界的ピアニストの甘い溺愛〜
彼の温もりが私の傷付いた心を癒してくれる。
「私ね、本音を言えば……このまま流されたい。あなたに縋り付いてしまいたい」
「だけど……?」
「今の私は中途半端なの。正式に婚約を解消したわけでもない。だから……自分で、決着をつけたいの」
奏は、私をじっと見つめてから口を開いた。
「カッコいいね。……さすが僕の花音」
「僕のって、フライング気味じゃない?」
私たちは少し笑った。
「じゃあ、改めて。決着がついたら……僕の花音になってくれる?」
その言葉に、思わずそのまま流されたくなる。
でもダメ。
この決着は、自分でつけなくちゃ。
「……その答えは、決着の後に」
「了解。でも……今度は逃す気ないけどね」
奏の不敵な笑みが、私の心を鷲掴みにする。
「ちなみに確認なのだけど、あなたは独身よね?」
「もちろん」
「恋人も……婚約者もいない」
「花音……当たり前だよ。僕がそんな男に見える?」
彼の拗ねたような顔を見たら笑ってしまった。
「ごめんなさい。あなたはそうは見えないわ。ただ、信じていた婚約者に裏切られたばかりだから、つい慎重になってしまって」
「うん。わかってるよ」
そう言って、私の額にキスをした。
「でも今度こそ、連絡取れるようにしたい」
「そうね。それは大事」
私たちは携帯を取り出して連絡先交換をした。
「毎日電話してもいい?」
「もちろん。私からもするわ」
「僕はもうすぐ東京公演を皮切りに地方へ行かなければならない。だけど、困ったことがあれば何でも相談して」
「ありがとう……本当に、心強いわ」
もうしばらく会えないかも知れないと思うと……寂しい。
「ねえ、顔をよく見せて」
そう言って奏の前髪を上げると……どこかで見た顔だと思った。
「奏……すごくハンサムだったのね」
「……ありがとう」
「……何か見たことあるような気がするんだけど」
「そう? プロモーターには日本で僕の顔を売ってもらえるよう頼んでいたから、宣伝の何かで見たのかも」
「でも……私の中で、あなたは前髪ボサボサのイメージだったから……こんなにイケメンだと逆に反応できないわ」
「それは……アプローチ失敗だったね」
「私に気付かれたくて顔を出したの?」
「そうだよ。他に理由ある?」
私は思わず吹き出してしまった。
「ありがとう。私、あなたにそんなに想われて……幸せ」
奏が私を抱きしめる。
鼻が触れる。
息が掛かる。唇に触れそうなところで、止まる。
「ねえ、やっぱりまだダメ?」
「……ダメ」
ガッカリする奏の手をとって立ち上がった。
「なんだかお腹が空いて来ちゃった。ごはん食べに行かない?」
「そうしようか」
そして私たちは、部屋を後にした。
**
私は今、緊張しながらカフェで紅茶を飲んでいる。
目の前の席には、直人とすみれが座っていた。
「私ね、本音を言えば……このまま流されたい。あなたに縋り付いてしまいたい」
「だけど……?」
「今の私は中途半端なの。正式に婚約を解消したわけでもない。だから……自分で、決着をつけたいの」
奏は、私をじっと見つめてから口を開いた。
「カッコいいね。……さすが僕の花音」
「僕のって、フライング気味じゃない?」
私たちは少し笑った。
「じゃあ、改めて。決着がついたら……僕の花音になってくれる?」
その言葉に、思わずそのまま流されたくなる。
でもダメ。
この決着は、自分でつけなくちゃ。
「……その答えは、決着の後に」
「了解。でも……今度は逃す気ないけどね」
奏の不敵な笑みが、私の心を鷲掴みにする。
「ちなみに確認なのだけど、あなたは独身よね?」
「もちろん」
「恋人も……婚約者もいない」
「花音……当たり前だよ。僕がそんな男に見える?」
彼の拗ねたような顔を見たら笑ってしまった。
「ごめんなさい。あなたはそうは見えないわ。ただ、信じていた婚約者に裏切られたばかりだから、つい慎重になってしまって」
「うん。わかってるよ」
そう言って、私の額にキスをした。
「でも今度こそ、連絡取れるようにしたい」
「そうね。それは大事」
私たちは携帯を取り出して連絡先交換をした。
「毎日電話してもいい?」
「もちろん。私からもするわ」
「僕はもうすぐ東京公演を皮切りに地方へ行かなければならない。だけど、困ったことがあれば何でも相談して」
「ありがとう……本当に、心強いわ」
もうしばらく会えないかも知れないと思うと……寂しい。
「ねえ、顔をよく見せて」
そう言って奏の前髪を上げると……どこかで見た顔だと思った。
「奏……すごくハンサムだったのね」
「……ありがとう」
「……何か見たことあるような気がするんだけど」
「そう? プロモーターには日本で僕の顔を売ってもらえるよう頼んでいたから、宣伝の何かで見たのかも」
「でも……私の中で、あなたは前髪ボサボサのイメージだったから……こんなにイケメンだと逆に反応できないわ」
「それは……アプローチ失敗だったね」
「私に気付かれたくて顔を出したの?」
「そうだよ。他に理由ある?」
私は思わず吹き出してしまった。
「ありがとう。私、あなたにそんなに想われて……幸せ」
奏が私を抱きしめる。
鼻が触れる。
息が掛かる。唇に触れそうなところで、止まる。
「ねえ、やっぱりまだダメ?」
「……ダメ」
ガッカリする奏の手をとって立ち上がった。
「なんだかお腹が空いて来ちゃった。ごはん食べに行かない?」
「そうしようか」
そして私たちは、部屋を後にした。
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私は今、緊張しながらカフェで紅茶を飲んでいる。
目の前の席には、直人とすみれが座っていた。