元カレ副社長は、初恋を拗らせていた

思い出したくない過去


 高校3年生の春。

 クラス替えがあり、心も浮き足立っているはずなのに、隣の席の相手を知って、気分はどこかどんよりしていた。

 窓側の席でラッキーだと思っていたのに、右隣の席は学内で有名なイケメン男子、神谷琥二郎だった。

 ふわりと額にかかる前髪の下に、涼しげな目。
 笑うと人懐っこくて少しあどけない。
 整った鼻筋や薄く形のいい唇が妙に大人びてみえて、なんだか落ち着かない。

 初めて同じクラスになったが、彼のプライベート事情は大方耳に入っていた。

 今誰と付き合っていて、いつ別れただとか。

 誰かしらが必ず噂しているくらいの人気ものだ。

 私は、そんな彼が苦手だった。

 まともに会話したことなんてないけど、嫌いだった。

 家もお金持ちで、勉強もできて、人気もある。奨学金を借り、両親の反対を押し切って田舎から出てきた平凡な私とは、何もかも違う人だった。

 だから、まともに話したこともないのに、私は彼が苦手だった。

 今思えば、そんな自分とは真逆の位置にいる彼が、羨ましかったんだと思う。

 劣等感、僻み、ジェラシー?

 とにかく、ほとんど関わらずに卒業するであろうと思っていた。

 そんなある日。
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