元カレ副社長は、初恋を拗らせていた

 「小林さんって、スクモン好きなの?」

 休み時間、いきなり右隣から声がかかった。

 驚いて声の主を見ると、彼の視線は私の机にかけられてあるバッグに向けられていた。

 「あ………うん」

 私のバッグには、スクエアモンスターという、四角いモンスターを育てるRPGゲームのキャラクターのキーホルダーがぶら下がっていた。

 「ねえ、これみて」

 そう言って彼は、自分のスマホを取り出し画面を私に見せてきた。

 その画面はロック画面。

 その背景がなんと、超難関のステージをクリアしないとゲットできない、私の推しキャラである猫のスクモンのSSR特典画像だったのだ。

 「えっ……これ……クリアしたの?」

 私はやや食い気味で彼に問いかけた。

 「うん、すごいっしょ」

 そう言って彼は無邪気な笑顔を見せた。

 そこからだ。

 私たちの距離が少しずつ縮まっていったのは。

 あれだけ、勝手に嫌っていたのにもかかわらず、たったひとつの「共通点」が、簡単に私の心を解いていった。

 それが思い出したくもない、恋の始まりだった。

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