『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
リリアーナは爬虫類や虫は積極的に触れられないが、命が失われたことに可哀想に思っている。小さな亡骸が荒らされてしまう前に、この美しい中庭の端にでも埋めてあげようと思いついた。
勇気を出して、ハンカチを使い亡骸を恐る恐る拾い上げる。白い生き物の体は、想像していたよりもずっと軽かった。
『次に生まれてくるときには、猫に気をつけるのよ。いっそ空を飛ぶ鳥になってもいいわね。それで私にいつか会いにきてね。それまでゆっくり休んでね』
そう弔いの言葉を呟くと、亡骸がわずかに動いた気がした。閉じられた小さな目が開き、そこから金色に輝く瞳が見えて──。
ちょうどそのタイミングで後ろから声をかけられて、体が固まってしまった。
『どうしたんだい、お嬢さん。もうすぐ礼拝堂で、祝福を授ける儀式がはじまるよ』
落ち着いた声に慌てて振り返ったリリアーナが目にしたのは、立派な白い髭をたくわえた、真っ白な祭服を着たひとりの小柄な老人だった。佇まいから、明らかに高位の神官だとわかる。
神官はリリアーナと目が合うと、わざわざ中庭に面した通路から、様子を見にくるためかこちらに歩いてきた。
叱られるのではないかと、緊張が走る。誰にも告げずに勝手に、こんなところに来てしまったからだ。