『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
猫はリリアーナと目が合うと、ニッと目を細めた。

『口に咥えているのは、生き物だわ。ね、猫ちゃん、それを食べないで。撫でてあげるから』

 なんとかその生き物を助けてあげられないかと、リリアーナは猫に向かって必死にお願いをしてみた。とにかく猫が口から離してくれればと、そう思った。

 猫はリリアーナの声に、咥えていたものを地面にポトッと落とした。そうして、ほら褒めろとばかりに、リリアーナに自分の体を撫でつける。

『よしよし、私のお願いを聞いてくれてありがとう』

 二、三度猫の頭を撫でてやると猫はもう満足したのか、草花の茂る中にゆっくりと消えていった。

『さっきの、あの猫が落としていったものは……。これは白いトカゲ?』

 地面に横たわり、ぴくりともしない白く小さな生き物。けれどトカゲにしては胴が長く、蛇にしては手足がついている。

 見たことがない生物を目の前にして、リリアーナは戸惑った。

『なんだか不思議な生き物だわ。残念だけど息はもうしていないみたい。それよりどうしよう、このままここに放っておいたら……』

 あの猫がまたトカゲを取りに戻ってくるかも。もしくはカラスなどに見つかったりしたら、この亡骸は今度こそ食べられてしまうかもしれない。
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