『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
(結局、私は竜の加護なんて受けられなかった。だって、ただあの可哀想な小さな体を拾い上げただけだったんですもの)
猫が咥えてきた、小さくて不思議な生き物。一瞬の白い稲光の中で消えた、本当に正体不明の存在。リリアーナはそれを埋葬してあげようと、そっと拾い上げただけ。
竜の加護を与えられるなんて話は、大神官が声を上げ周りが勝手に盛り上がったものだ。竜に選ばれた娘とも言われているけれど、竜だっていい迷惑だろう。
(お可哀想に、大神官様も気まずそうな顔をしているわ。まさか私がここまで邪険に扱われるとは、想像もできなかったのでしょう)
あの日の出来事によって、リリアーナは男爵令嬢ながら王太子の婚約者になり、今日ここに大神官から直々に呼ばれていた。
この婚約までのストーリーは傍から見ればまるで夢物語のようだけれど、実際は蔑まされ、嘘つき呼ばわりされている。
このことについて大神官から王太子に苦言があったが、『老いた大神官に、トカゲを見せて騙したのは田舎女だ!』と、まったく聞く耳を持たなかった。