『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
なら婚約の再考を大神官は提案したが、それを渋ったのは国王だ。万が一にこの話が本当なら、やすやすと『与えられるかもしれない加護』を手放すのが惜しかったようだ。
国王の他の子供はすべて姫なので、リリアーナを手元に置くにはシルバと婚約させるしかない。婚約者を傷つけるシルバを厳しく諌めることもないのは、たったひとりの息子だからだろう。
ただ、最近ではリリアーナを持て余している様子も伺える。期待していた加護の恩恵を、一向に受けられていないからだ。
リリアーナをたまに呼び出しては、『なにか加護を感じるようなことは起きたりしていないか?』なんて聞いてくる。リリアーナの身の回りに起きていることなど、苦しいことばかりなのに。
だから戦場の近くの療養所にも、国王はリリアーナを送り出せたのだろう。
後ろ盾が強い公爵令嬢でも、伯爵令嬢でもない、貧乏な男爵家の令嬢だ。万が一に事故や病気になり亡くなってしまっても、それはそれで構わなかったのだろう。
──期待していた、加護の力が無いのだから。