『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 なら婚約破棄を国王が言い出してくれればいいものを、まだぐずぐずと決断ができないようだ。シルバもシルバで、文句は言うのに父王の判断に逆う気概は持ち合わせていない。

(もういっそ、夢に竜が出てきて『ただの小娘に加護の力などは与えられない』と言われました! と嘘の宣言してしまおうかしら。けれどそれでは大神官様のお顔に泥を塗ってしまうことになる)

 八方塞がりとはまさにこのことで、リリアーナは心の中で盛大なため息を吐いた。

 礼拝堂の大きな扉が静かに開き、騎士団の入場を知らせる声が上がった。集まった王族や上位貴族たちが、静かに入場してくる騎士たちに視線を注ぐ。

 正装をした騎士団員たちが、一列になって入場してきた。
 騎士団長の後ろに副団長、そして騎士たちの中でも、もっとも活躍して勝利に貢献し、ひと際目を引く──サリュー国の若き英雄騎士と呼ばれるようになった人物が続く。 

(……アザール様も、お元気そうでよかった。 隣国の将軍と一騎打ちになったと、聞いたときには肝が冷えわ。診療所にも兵士たちの様子を見にきてくれる、とても優しい方だった)

 視線の先にいた、グレイ・アザールがこちらに気づく。すると、ふっと嬉しそうに目を細めた。

 思わずドキッとしてしまい、リリアーナは微笑み返すことなく下を向いてしました。

(アザール様が私に笑ってくれるなんて。いいえ、きっと気のせい、療養所で何度か顔を合わせただけの私なんか、覚えていないに決まってるもの。私が普通の女の子だったら、勘違いしてしまっていたわ) 
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