『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

「おい! どうして僕を突き飛ばしたんだ! この国の第一王子だとわかっていての狼藉か!? リリアーナなんて、勝手に転ばせとけばいいものをっ!」

 グレイはシルバの怒声にも不安な表情ひとつ見せず、リリアーナを見つめて視線を離さない。

 周囲は突然のことに誰もが話を止めたので、驚くほどシン……と静まり返ってしまった。

「その目を、すぐに医者に診てもらいましょう」

「医者に診てもらわないといけないのは、僕の方だ! あいつに突き飛ばされて、ここ、肘を強く打ったんだ!」

 真後ろでひとり騒ぐシルバに、グレイがぴくりと眉を動かした。

(このままでは、私のせいでアザール様に迷惑をかけてしまう!)

「私は大丈夫なので、どうか……。でないと、シルバ様からアザール様まで叱られてしまいます」

 シルバの暴言は恐ろしいが、もう何百回も言われ続けていれば多少は慣れも出てくる。とにかく大人しく聞き続け、嵐が去るのを待てばどうにかなる。
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