『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
そうやって、八年も耐えてきたのだ。
転びそうになっても、放っておけという人間に、ずっと暴言を吐かれ続けて……。
いまだに自分を大事そうに抱きとめたグレイの優しい力加減に、リリアーナの目からは思わず涙がこぼれてしまった。
シルバを恐れて、リリアーナの周りには味方はいない。同情はされていると感じるけれど、他人にシルバからとばっちりがいかないよう、リリアーナからも人を遠ざけていた。
抱きとめられ続けるグレイの腕に、ぎゅっと力が込められた。
「泣かないで、サルバル嬢。俺は貴方の味方です」
リリアーナの胸が、生きてきた中で一番、嬉しさで跳ねた。ときめきと切なさが波のように押し寄せて、カラカラに乾いていた心を優しさで満たしていく。
優しく、味方だと言ってくれた。
親元から引き離された十歳のリリアーナが、ずっと胸の中で泣いていた。そのリリアーナがそうっと顔を上げたのを、十八歳のリリアーナは感じていた。
(……私、こんなにも温もりに飢えていたのね)