『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 グレイはまるで壊れものでも扱うように、大切にリリアーナを横抱きにした。お姫様抱っこだ。

(ちょ、わーっ! え、夢? 本当の私はベンチの角に頭でもぶつけて、これは気絶している中で見ている夢!?)

 グレイに抱き上げられると、顔を真っ赤にして怒るシルバの姿がよく見えた。国王も妃も大勢の前で癇癪を起こす息子の姿に狼狽えている。

 シルバは今年で二十二歳だ。成人済みの大人としての基本的な落ち着きが身につかず、自分が一番優先されるべきだと常に騒ぐ。

 自分の美しさを自慢するが、実際にはふくよかで、個性的な面立ちだ。それをどう思おうが勝手だけれど、リリアーナを酷く虐めていい理由にはならない。

 そんなシルバが突然、ニヤリと笑った。

「おい、そこの騎士! 笑いもしない嘘つき、欠陥品リリアーナなら勝利の褒美としてくれてやるよ!」

 ざわっと、礼拝堂の中が騒然とする。

 八年もシルバを見ていれば、これがグレイに対する嫌がらせだと、リリアーナにはすぐにわかった。

 シルバや貴族たちに〝嘘つき〟と呼ばれている、痩せてみすぼらしいリリアーナ。それを押し付けられて困るグレイと、恥をかくリリアーナを、シルバは礼拝堂に集まった貴族たちに見せようとしているのだ。

 リリアーナは、全身から血の気が引いた。
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