『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
グレイを本当に巻き込んでしまったショックで、ガタガタと体が小刻みに震え出す。自分がよろめいたばっかりに、助けてくれたグレイに大迷惑をかけてしまった。
すぐにグレイに謝ろう。そう思い、自分を抱き上げたグレイの顔を見ると──。
頬を紅潮させて、リリアーナを見ていた。
「殿下! そのお言葉、謹んでお受けいたします。サルバル家令嬢リリアーナ様は、いまをもって殿下との婚約を解消され、このアザール・グレイの婚約者となることで──よろしいですね!」
グレイのよく通るいい声が、礼拝堂いっぱいに響く。
まさかグレイがリリアーナを引き受けるとは思わなかったのか、シルバはポカンとしている。グレイは横抱きにしたリリアーナを、今度は思い切り力を込めて抱きしめた。
「サルバル嬢、俺は一介の騎士ですが、あなたを必ず幸せにします。俺も貴方と、一緒に幸せになってもいいですか?」
力を緩めて、グレイがリリアーナの顔を覗き込む。その表情は凛々しい騎士の顔とは違う、青年の本当に嬉しそうな顔だった。
笑った口元から、可愛らしい八重歯がのぞく。頬はさらに赤くなっていて、細めた目からは嬉しさがストレートに伝わってきた。