『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 大神官からの祝福。それはシルバとの婚約破棄を正式に認め、グレイとリリアーナな正式な婚約者となることだ。

 大神官も、これまでのリリアーナの扱いの酷さに、何度も国王やシルバに苦言を呈してきた。しかしのらりくらりと、はぐらかされていたのだ。

「……わたしも、殿下がリリアーナを君にくれてやると言ったのを、しっかりと聞いていたよ。ここは礼拝堂で、神の、竜の御前でもある。そこで交わされた約束なら、果たさなければならない。……リリアーナ、アザール殿を夫とすることに心配はあるかい?」

 今まで申し訳なかった、そんな感情が含まれた大神官の眼差しが、リリアーナに向けられる。

 じわじわと、これは夢ではなくて、現実かもしれないことを肌で感じはじめていた。国王の焦り顔、貴族たちのざわめき。シルバは、訳がわからないとばかりに、こちらを見ている。

 ドキ……ドキ……と、心臓が大きく鼓動を打つ。

 静かに、リリアーナは首を小さく横に振った。

「……こんな私を貰い受けてくださるアザール様に、誠心誠意尽くしていきたいと思います」

(プロポーズは、きっと私に恥をかかせないための、アザール様の咄嗟の嘘だわ。私はその優しさに、これから恩返しがしたい)

 形ばかりの婚約者になっても、夫婦になっても、グレイに好きな人ができても。その気持ちを尊重していきたい。
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