『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 リリアーナの答えに、ふっと大神官が微笑んだ。そうして視線を、向こうの国王や妃に向けた。

「国王よ。こうなった以上は、もう元には戻らないが、それでいいですな。約束はしっかりと交わされ、わたしや、ここにいるすべての人間が証人となる」

「それはそうだが、しかし……っ、それでは竜の加護が!」

「……殿下が、褒美にくれてやると言ったんですよ。ねえ、殿下?」

 大神官の問いかけは、シルバに向けられた。シルバは目を見開いて、投げやりに答えた。

「言った、言ったさ。だって父上だって、リリアーナの扱いに困っていたでしょう? 僕だって、最初から嘘つきと結婚なんてする気がなかった。だから、そこの騎士にくれてやったんだ! ありがたく思えよ! なんにもできない女だがな!」

 捨て台詞を言い、続いて荒く鼻息を吐いた。

 国王は、ここで我を通すのは得策ではないと気づいたのだろう。戦争の英雄とされるグレイ、それに騎士団長はじめ団員たちの冷ややかな目が、一斉に自分やシルバに突き刺さっている。

 グレイとシルバの対峙を目の当たりにした貴族たちの中には、シルバを厳しい目で見る者までいる。

 細く長いため息を吐いて、小さくうなづいたあとに項垂れる国王の姿に、リリアーナは涙が再びあふれるほどホッとした。
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