『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 グレイはそんな戦場に、団長補佐として向き合っていた。

 負傷した人間は、戦場から近い修道院へ運び込まれる。修道院は戦争中はたちまちに救護施設に代わり、シスターや傷病兵を診る騎士修道会が看護にあたる。

 戦場で負傷した兵を荷馬車に乗せて、修道院へ急ぐ。グレイはその荷馬車に付き添い、修道院で怪我の治療を受ける兵を励ました。

 ある日その修道院で普段見かけない女性が働いているのに気づいた。修道会の人間に聞くと、シスターではないらしい。

『王都でずいぶん前に、神殿に竜の子が現れたと騒ぎになったでしょう? 彼女がそのとき、その竜の子を助けたとされる方です。王太子の婚約者ですが、竜の加護を受ける可能性があるからと……。国王の命令でここに連れてこられたんですよ。しばらくは、修道院で手伝いをしてくれるそうです』

 竜の子、と聞いて、グレイはそんな騒ぎが昔あったことを思い出した。

『竜の加護っていっても……。あんなに儚そうな女性、しかも殿下の婚約者を、国王は危険な戦場近くに寄越さなくてもいいのに』

 年は若く、ずいぶんと痩せていた。令嬢と言われても、そんな華やかな雰囲気はない。サリュー国の王太子の婚約者の立場なのに、言葉を選ばずに言えば、あまりにも身につけているものが質素なのだ。
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