『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
けれど不思議と目を引く雰囲気があり、グレイは修道会の人間と話をしながらも、黙々と働く彼女から視線を離せないでいた。
『戦場近く、だからでしょう。国王はこの戦争に勝つために、藳にも加護にも縋りたいんですよ。男爵家のお嬢さんなのに、文句ひとつも言わないで、進んで動いてくださっています。ここは年老いたシスターだけの修道院でしたからね。若い人は貴重な戦力です』
『……そうなんですね。この修道院の周囲も、さらに見回りに力を入れるように上に報告します』
そう言って修道院をあとにはしたが、彼女がこんな過酷な状況で働けるんだろうか。心に小さな引っかかりを残し、グレイは戦場へ戻っていった。
(帰りたいと、泣くんじゃないかな)
しかし、グレイの心配は的を外れることとなる。
王都から連れてこられた令嬢、リリアーナ・サルバルは文句ひとつこぼさずに、進んで山のようにある仕事をこなしていた。