『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
同時に、こんな状況に婚約者が放り込まれても、様子ひとつ見に来ない王太子に怒りがわいた。
その日から、グレイは気になるリリアーナについて調べはじめた。竜の子騒動で王太子の婚約者になった、とまでは知っていたが、彼女がこんな扱われ方をする理由が思いつかないからだ。
ちょうど同じ隊に、以前は王族の身辺警護を担当する近衛騎士を務めていた壮年の者がいたので、時間を見つけてリリアーナについて聞いてみた。元近衛騎士は、『ああー……』と呟いて、眉を下げた。
『サルバル嬢は、あの騒動からすぐに親元を離されて城住まいになったんだ。ただ、殿下が強烈な性格だろう? サルバル嬢はずいぶんと虐められてな、大神官が何度も王太子に注意をしたみたいなんだが聞きやしなくて』
『自分の婚約者を、虐める……?』
『ああ。サルバル嬢は子供のころ、それはもう天使と見紛うほどの容姿だったんだ。城でも、注目を浴びてな。それが王太子は面白くなかったんだろうな……。竜の子を見つけたなんて嘘だと言って騒いで、取り巻きの貴族も巻き込んでサルバル嬢に恥をかかせて……な』
国王夫婦も息子には甘く、また彼女の生家の爵位が男爵で後ろ盾がないことをいいことに、王太子の好きにさせているらしいというのだ。
『つまり……、逃げる場所がない彼女を、国王は城で飼い殺しにして、王太子は虐めているという訳ですね』
『はっきり言ってしまえばな。国王が期待した竜の加護とやらもまだないみたいだし、八年も囲い込んでおいて、今さらサルバル嬢の扱いに困っている可能性もある。このままじゃ加護の恩恵も無いまま、可愛い息子は爵位の低い男爵令嬢と結婚する可能性が高いし……持て余してるんだろう。だけど万が一、ここで加護が与えられたなら……』