『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 今の国王は賢王とは言えず、それは自覚しているのか、一発逆転の功績が欲している節がある。それが、竜の加護だというのだ。

(そんな不確かなものに振り回されて、彼女の人生を踏みにじっているのか……! それにその加護とやらが、戦争にうまく働くかなんて確信もないのに!)

 サルバル嬢は可哀想な子だよ、と元近衛騎士はこの話を締めた。

 この瞬間、グレイの心の中に激しい殺意が生まれた。相手は、リリアーナを虐めているという王太子にだ。

『……はは、殺すしかなくなっちゃいました』

 ぽろりと、思わず本音が出てしまう。
『え、ちょ、誰を!?』

『ふふ……、冗談ですよ』

『や、お前、笑顔を作ってるけど、目が全然笑ってないから!』

 その通り、グレイはこの戦場にもし王太子がやってきたら、殺してしまおうと考えはじめていた。
いつなにがいつ起きるかわからない戦場なのだから、王太子が不慮の事故で死んだとしても、決しておかしくはない。

 奇跡の連続が命を繋ぐ、戦場はそんな凄惨な地獄なのだから。
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