『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
思わず顔がゆるゆるに緩んでしまいそうになるのを、グレイは綺麗な笑顔を作ることで耐えた。
恋に心がかき乱される感覚に、兄や友人からの恋の講義を思い出す。
礼拝堂で婚約を大神官から祝福されたあと、グレイはすぐにリリアーナの目の治療をして城を出た。あとからやはり惜しい気がするなんて、国王が言い出したりしたら面倒だからだ。
この馬車は今、リリアーナの生家である地方へ向かっている。元近衛騎士から、生家にも一度も帰らせてもらえていないと聞いていた。
必ず、リリアーナを両親に会わせてあげたい。リリアーナにしてあげたいたくさんのことの、まずは一番目にあったグレイの目標だ。
数日後にある城での勝利を祝う宴などまったくもって行く気は無いと、すでに騎士団長には説明済である。リリアーナをすぐに両親と会わせてあげたいと言うと、団長はグレイに二週間の休暇をその場でくれた。
礼拝堂に集まったのは午前中、昼には二人は婚約者同士となり、午後の穏やかな光の中を進む馬車でリリアーナの生家に向かっている。王都から馬車で四、五時間くらいらしいので、夜には到着するだろう。