『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
八年も離れて暮らしたのだ。両親も弟も、成長したリリアーナの姿を知らない。何度も城を訪ねてきてくれたようだが、『里心がつくから』と、国王が面会を一度も許してくれなかった。
手紙のやり取りも、禁止されていた。
(もういない娘だと、そう思われていたらどうしよう。会いに来たことを迷惑に思われてしまったら、私はどうしたらいいの)
屋敷の玄関扉が開き、暗闇に光が漏れる。リリアーナの緊張は、どんどん増していく。
そこには女性らしき影があり、グレイと話を少しすると、馬車に向かって小路を走ってくるのが見えた。
「……あ、ああっ、お母様だわ、お母様!」
何度も会いたいと願った姿が、こちらに向かってくる。リリアーナは堪らなくなって、馬車から飛び降りた。
女性はやはり、リリアーナの母だった。
「ああ、リリアーナ! 本当にリリアーナだわ!」
「お母様、会いたかった……っ!」
母に抱きしめられたリリアーナは、その懐かしい香りに自分が十歳に戻ったのかと錯覚した。城から出られなかった八年なんて夢の中の出来事で、本当のリリアーナは十歳のまま──。
リリアーナを抱きしめた母は、涙で顔をぐちゃぐちゃにした。両方の手のひらでリリアーナの顔を挟み、名前を何度も呼び、愛おしそうに頭を撫でる。