『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
屋敷の中はどこも、リリアーナの記憶の中とほとんど変わらなかった。受け継がれ続けている家具やシャンデリア、階段の傷、開けるときに少し硬く感じる扉まで、嬉しいほどそのままだった。

 あまり広くはないが、綺麗にまとめた応接室までも、記憶にあるままだ。そこに家族とグレイが、ソファーに座る。

「──ということがありまして、リリアーナと今日婚約に至りました。その場で大神官から祝福を受けないと、王太子からの婚約破棄は間違いだ、無効だと国王からされそうで。なので事後報告になってしまい、申し訳ありません」

 グレイの丁寧な説明に、両親と弟のアルフは絶句した。そうしてリリアーナの姿を見て、揃って涙をまた流した。

「……まさか、リリアーナがそこまで酷い扱いを受けていたとは。アザール様、娘を助けてくださって感謝いたします。あの、アザール様とリリアーナは、以前に会ったことがあったのですか?」

 知り合いだったのかと、父がグレイに訊ねる。

「いいえ。リリアーナには、さきの戦争の治療施設として使われた修道院でお世話になりました。国王命令で、リリアーナはあの戦場に連れてこられていたんです。リリアーナに看護され、助けられた者はたくさんいます」

 わっ、と両手で顔を覆ったのは、母だった。
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