『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
「ああ、リリアーナはあの日から、一貫してそう言っていた。けれど神殿の人間や国王が騒いで……。そうして可愛い娘は、連れ去られてしまったんだ」

 父の言葉に、応接室は静まる。

 その沈黙を破ったのは、グレイだった。

「リリアーナには、家族の絆を取り戻す時間と、自身の体調の回復が最優先だと考えます。結婚の準備は、それから……」

 するとアルフが、真剣な声色でこう言った。

「結婚してから、療養する。という流れではいけませんか? 僕は今の話を聞いて、とても怖くなりました。姉を守りたいけれど、男爵家では圧倒的に力がありません。アザール様はこの国の英雄で、ご生家は伯爵位です。どうか、力を貸してください!」

 十四歳になったアルフが、グレイに頭を下げた。

 リリアーナと家族にとって、国王は脅威でしかない。命令とあれば、また連れ去られてしまう可能性だってある。

 そこにグレイの──婚姻関係を結んだアザール家が絡めば、そう簡単にはことは運ばなくなってくる。アザール家といえば有名な高位貴族で、影響力もあるからだ。

 「なるほど」と、グレイが呟く。

「リリアーナとご家族が承諾してくだされば、すぐにでも結婚に向けて準備をはじめます。婚約は済ませてしまいましたが、明日にでも改めて確認という形で、アザール家から代表を連れてまいります」
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