『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 貴族同士の結婚は、まず両家の代表者との間で婚約をまとめ、証人の前で当事者同士が誓いを立てて結婚が成立する。

「婚約までしていただいて今さらですが、アザール様は本当によろしいのでしょうか」

 父のグレイへの問は、リリアーナは今日心の中で何度も思ったことだ。たまたま助けたせいで、嫌がらせのように押しつけられた男爵令嬢と、勢いで結婚してしまっていいのかと。

(身分も、なにもかもが、グレイ様とは違い過ぎている)

 けれどグレイは、間も置かずに即答した。

「ええ、なにも問題ありません。うちの両親も喜びます」

 そこまで言われては、それ以上聞くのも失礼だと父も思ったのだろう。サルバル家の代表は自分がなるとグレイに告げた。

 その夜、グレイと馬車の御者は帰っていった。

 積もる話は山ほどあるけれど、リリアーナの体力がもたないと、両親からは早々に就寝を進められた。

 子供のころのように寝る支度を手伝おうとしてくれる母に、リリアーナは嬉しくなる。

「これから、ゆっくり体調を戻していきましょうね。リリアーナの好きなもの、たくさん作るわ」

「ありがとう、お母様。今夜はこのまま、一緒に眠って欲しいって言ったら困る?」

「困ることなんて、なにもないわ。可愛いリリアーナ、帰ってきてくれて良かった……」
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