『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 そんな風に過ごしていたけれど、今日はグレイの到着が遅い気がする。窓の外に目をやると、スッとなにか、窓辺を小さな白い生き物が横切った。

 キラッと、なにかが光った気もする。

(なにかしら、鳥?)

 なんだかとても気になって外に出て確認しようと一階に下りると、グレイが来るか様子を見に行こうか?と父が外に行こうとしていたところだった。

「ちょっと気になるものがあったから、それを見に行ってくるわ。そのまま、外でグレイ様を待ってみる」

 そう言い玄関を出ると、門の向こうにグレイの姿が見えた。いつもなら馬から下りて手網を引いてくるのに、今日はその場で立ち止まっている。

 わずかな違和感を覚えて、リリアーナはグレイに駆け寄った。グレイは、なにも言わない。

「どうしたんですか、グレイ様……?」

 覗き込んでみたグレイの顔は、わずかにしかめ、額に汗を浮かせている。今日は肌寒いくらいで、汗をかくほどの気温ではない。

 震えているグレイの手に思い切って触れたら、想像以上に冷たかった。

(これは、なにかグレイ様の体に起きている……?)

 戦場の修道院で働き負傷兵の看護をした経験から、グレイの状態が普通ではないとすぐに察した。名前を呼んでも唇を震わせるだけで、言葉が出ないようだ。
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