『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
客間のベッドにグレイを横たえブーツを脱がし、背中の出血を確認するために汗でびっしょりと濡れたシャツを脱がせる。
脇腹の裏辺りに、なにかで掠ったような切り傷が現れた。
「内蔵が傷ついているような深さではない……。断面が綺麗だから、傷は刃物かなにかで切られたあとだわ。けどこのショック状態はおかしい、多分この傷のせいじゃない」
出血を止めるために、リリアーナは清潔な布を傷の上に被せて力を込めて圧迫する。母や使用人も驚きながらも、医者がくるまでになにができるか、リリアーナの指示を仰ごうとする。
「どうしましょう、リリアーナ! グレイ様から血がたくさん出ているわ」
「とにかくお医者様がいらっしゃるまで、圧迫し続けるしかないわ。清潔な布がもっと欲しい、あと縫合のときに固まった血を拭うと思うから、今のうちにお湯の準備もお願い!」
修道院での記憶が、リリアーナの鮮烈に脳裏に甦る。何十人もの負傷兵が運ばれてきて、中には傷が回復しないまま亡くなってしまった人もいる。
汗を大量にかき、青い顔をしたまま目を閉じるグレイの姿を見て……リリアーナは怖くなってしまった。