『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
(大丈夫、大丈夫、グレイ様は死んだりしない! この血もすぐに止まる、お医者様もすぐにくる! 泣くな、私、泣いてる場合じゃない……っ)
ぐっとあふれそうになる涙を堪えて、ドレスの袖が血で汚れのも構わずに、ひたすら布で傷口の圧迫を続ける。一瞬でも力を緩めたら血が途端にあふれ出てきそうで、その恐怖とも戦っていた。
(……こんなことなら、ぐずぐずと悩んでいないで、自分の気持ちを素直に伝えれば良かった。自分なんかがって思って言えなかったけど、本当は、本当は、好きになってしまったって……!)
気持ちが整理できなくても、言葉がぐちゃぐちゃでも、グレイに対して自分はこう想っていると──。
世界なんて、変わってしまってもいい。
惨めな姿を見られていたことなんて、もう構わない。
こんな自分だけれど、グレイに感謝と好意の気持ちを持っていると知ってもらえば良かった。
リリアーナは胸いっぱいに後悔を抱えながら、ひたすらに手当に徹した。